賃貸物件の原状回復、費用の相場を知りたい!借主・貸主の負担は?
「原状回復にかかる費用ってどれくらい?」
「壁紙に汚れが…これって、どっちが負担するの?」
「貸主の費用負担の割合は?」
こんな疑問やお悩みありませんか?
居住用の建物は住人の生活や経年劣化から建物の消耗がどうしても起こりえます。
特に、賃貸物件においては経年劣化等による原状回復にかかる費用がどれくらいになるのか、その負担が借主にあるのか貸主にあるのかとても気になる問題ですよね。
そこで、今回の記事では気になる原状回復とその料金について詳しく解説していきます。
借主と貸主の負担割合にまで踏み込んで紹介していくので、ぜひ最後までご覧ください。
原状回復ってなに? どんな時にかかる費用なの?
原状回復とは、賃貸借契約が結ばれている物件の契約終了時に、物件に入居した時の状態に戻す行為を指します。賃貸契約を結ぶ際の契約書に基本的に含められている内容です。
経年劣化や生活によって損耗した部屋を借りた時と同じ状態にするためにかかる費用のことを原状回復費用と呼びます。
この原状回復費用は賃貸物件のあらゆる箇所でかかります。
経年劣化によって機能不全に陥った機器の交換や清掃業者への依頼料、壁紙の交換費用等あらゆる箇所でかかるのです。その範囲を一概に提示することは難しいですが、経年劣化や使用によって損傷した床下や壁や天井のクロス等は、部屋の大部分を占めることもあって回復の機会も非常に多くなります。
次の入居者を集めるためにも、生活上の使用頻度の多い場所や目に付く場所の多くが対象とされがちです。
経年劣化等による磨耗はどうしても避けられないため、必須なるのが原状回復です。
【要注意】原状回復の定義がアパートでは異なる
経年劣化や磨耗した賃貸物件を借りた時の状態に戻す原状回復ですが、場合によっては定義が異なってくることにも注意です。
原状回復は、賃貸された部屋を借りた当時の状態にそっくりそのまま戻すことを意味していますが、経年劣化の起こりうる賃貸物件において本当の意味で入居時そのままの部屋に戻すことは不可能といっても過言ではありません。
賃貸物件の原状回復は賃貸された部屋を前の状態にそのまま戻すことではなく、経年劣化による損耗や毀損してしまった部分を回復する意味だと捉えられるでしょう。
賃貸物件の原状回復には通常の使用を超えた範囲での損耗や毀損を復旧させる意味合いが強いのです。
通常損耗と経年劣化に関しては、敷金から充当することはできない
賃貸物件の回復で借り手が費用を供出しなければいけないのは、故意や過失等によるものに限られます。
経年劣化や普通に使っていることによる消耗等は、敷金から充当させることができません。住人に責任のない経年劣化等による損耗回復は貸主が受け持ちとなるのが原則です。
貸主の立場であれば、経年劣化の修復に関する費用を事前に管理維持料として賃料の中に含めておかなければいけません。
敷金礼金ゼロ、いわゆるゼロゼロ物件のような場合は?
基本的に経年劣化や通常損耗以外の回復料金は入居時に支払った敷金から引かれますが、敷金と礼金がそれぞれ0円のいわゆるゼロゼロ物件の時の費用支払いはどのように処理されるのでしょうか?
こちらの場合、退去時に料金を計上して賃貸された物件の借り手に改めて請求を行うよう、賃貸契約の締結時に決められているパターンが多いです。
敷金を支払わないゼロゼロ物件であっても、料金は回収されるようになっています。
賃貸物件の原状回復費用の相場は?
基本的な知識を押さえたところで、次に損耗や経年劣化を修復するための費用面に関して詳しく触れていきます。
ハウスクリーニング費用
賃貸物件でよくお世話になるのはハウスクリーニングです。素人では取れない汚れや、手入れが難しい箇所を修復する際に呼ぶ専門の清掃サービスで、フローリングからエアコンの掃除まで幅広い箇所の掃除を任せることができます。
気になるクリーニングの相場ですが、ワンルームや1K程度の範囲であれば20000~40000円程度で収まるようになっています。1DKや1LDK程度であれば30000~40000円程度となり賃貸物件の規模が大きくなればなるほど料金が上昇していくのです。
ちなみに相場の幅が広くなりやすいのには、汚れの度合いや掃除箇所よって総費用が変わりやすいという理由があります。賃貸物件の次の住人を見つけるためにも、少々の出費は我慢してできる限りの清掃を行わなければいけません。
ハウスクリーニングの注意点
利用する機会の多いサービスですが、価格が変動しやすいことには注意です。
ここでは代金の価格に関わる注意点を掘り下げていきます。
・時期によって価格が異なる
3月や7~9月ごろの転勤ラッシュの時期には、その需要に合わせて相場が上昇する傾向もあります。次の入居者のためにも賃貸物件のクリーニングは早期に済ませておくべきですが、多くの物件のクリーニングを依頼する場合、時期による相場の上昇は大きな出費に繋がります。
相場の状況によっては、依頼の時期をずらして相場が落ち着くのを待つことも考慮に入れておきましょう。
・業者間によって価格が異なる
業者によって値段が変わることも多い仕事でもあるので、できるだけ複数の業者に見積もりを出したり、同じ価格帯でも質の良い業者を探したりする努力は欠かせません。複数の見積もりを出すことで、その地域の正しい相場を知ることができます。質に関しては事前に見極めることが難しいことも多いので、初めの内は色々な業者を試すようにして情報を貯めるようにするのもよいでしょう。
一物件ごとのクリーニング代金の差は些細ですが、積もれば大きな差が生まれていくのも事実、できる限り安く抑えていくべきです。
クロスの張替え
クロスを汚してしまった時や経年劣化によって天井や壁の張替えが必要となった場合、その費用はおよそ1000~1500円/㎡となることが多いです。これに加えて、2000円程度の廃材処理費がかかることもあります。
以前より質の高いクロスを使われ、予想外に高い料金を求められて困ることがあるので、使われているクロスの質が適正かどうかは要チェックです。
床の補修
飲み物をこぼして大きなシミが出来ていたり、引きずりキズ等ができたりした際には、床の補修も必要となってきます。よくあるフローリングの損傷の場合、張替えであれば1畳あたり3~6万円、修復であれば1万円/㎡程度が相場となっていることが多いです。
修復に関しては、損傷の範囲分の依頼だけでなく、1万5000円~5万円の相場で半日パックや1日パックといった時間制の依頼も出せる業者が多いので、予想以上に修復箇所が多い時にはこちらを利用しましょう。
【どうする!?】敷金で原状回復費用を賄えない場合
賃貸物件の経営者として総費用を敷金で賄えない時の対処法はおさえておかなければいけません。
常識的に賃貸物件が使われていれば、住人が多少のうっかりで傷つけた部分は十分に敷金で賄えますが、例外はつきもので代金が敷金を超えてしまう可能性は0ではありません。こちらの場合は不足分の料金徴収が可能です。
事前に預かっている敷金とは異なり、追加徴収に対して不満や反発をあらわにした借り手が未払い騒動を起こすこともあるので、修復費用の明細を見せる等して、互いに納得できるように協議を進めていきましょう。
そもそも敷金とは?
敷金に関しても補足して少し触れておきましょう。
そもそも敷金とは賃貸物件の借り手が退去費用の未払いや家賃滞納を起こした際に、不足した分の金銭を賄うために徴収される担保金のような存在です。
敷金は不動産業界の慣習で、法律上の取り決めは存在元々しませんでした。しかし、2017年に可決、2020年4月から施行された民法改正案によって、敷金と原状回復の関係が法律で明確化されたことには注意しましょう。
借主が貸主に交付する担保金が敷金に値すると示され、残った分の敷金は返金する義務が課されるようになりました。余った分の敷金を貸主が自分のものにすることは法律に反するので必ず避けましょう。
賃貸物件貸主と借主の負担割合について
原則、通常磨耗や経年劣化によるものは貸主の、本人の過失によるものは借主の支払いとなる原状回復費用ですが、それぞれの負担は実際にどうなるのでしょうか。こちらの項目では負担の実例を詳しく紹介していきます。
借主負担になる事例
まずは部屋を借りる人の負担となる事例についてみていきましょう。
負担の範囲について
借主の受け持ち範囲は本人の意識で避けられるものだったのか否かが基準となります。清掃や手入れ不足による汚損は通常磨耗とは認められないケースが多いです。
備え付けの電化製品や水回りにおける、サビやカビの放置による汚損は借り手が支払います。細かい部分でいえば、結露の放置によるカビやシミの拡大も借り手の支払いとされがちです。
賃貸物件の清潔を維持する努力がなされていない時には、通常だと認められないことが多くなります。
負担対象となる限度について
一定の限度を超えた賃貸物件の使用も借り手が料金を持たなければいけません。
専門の清掃業者が求められるほどのタバコのヤニ被害やキッチンの油汚れ等が該当することが多いでしょう。加えて、クロスの張替えが必要なレベルの釘穴等も負担の扱いを受けます。
借主が支払う対象事例は借り手の少しの努力で避けられるものが非常に多いので、後の金銭問題防止のためにも、賃貸契約時の段階で負担事例をできる限り明示しておくべきです。
かかる料金が高くなることは、貸主・借主両方に不利益になるので対策を取るようにしておきましょう。
貸主負担になる事例
一方の貸主負担となる基準は経年劣化や通常磨耗と認められるかどうかです。
家具による床のへこみやクロスの張り替えが不要な程度の画鋲穴であれば通常磨耗とみられます。ちなみに、家具の引きずりキズ等の借人の意識不足でできた損傷は借主持ちとなります。
また、自然災害によるものも貸主が受け持ちます。地震等の分かりやすく偶発性の強い被害の言及は避けますが、避けにくい代表例は日照によるクロスの変色です。こちらは、借り手の努力によって避けられない自然現象による損傷のためだと捉えられます。
経年劣化によるもので代表的なのは設備機器の破損や機能不全です。借り手の過失によって破損させたのではない限り、貸し手が代金を持つ経年劣化の対象だと扱われます。
最後に注意が必要なのはハウスクリーニングです。
借り手に過失がなくても、次の入居者のために清掃の専門業者を呼ぶことがありますが、こちらの場合は貸し手側が支払いを持ちます。
借主の負担で扱えるものは、賃貸物件の借主本人の過失によるものが基本だと覚えておきましょう。
経年劣化による破損はどのように処理するのか
代金を借り手の過失によって負担する際には経年劣化による計算が入ることも押さえておきましょう。その理由は、経年劣化した賃貸物件の設備に対しても減価償却の理論が適用されるからです。
例えば、耐用年数が6年と設定されているクロスを張替える必要があった場合、3年間入居の借主の張替え費用は総額の50%となり、6年以上入居の借主の場合では支払う額は計算上1円となります。
部屋の住人の過失による場合でも、経年劣化が適用される原状回復費用をすべて支払わせることはできないのです。
原状回復による特約について
最後の項目では原状回復費用に関わる特約を紹介します。
負担の原則を変える重要な要素で、借主の支出を抑えるための内容でもあるので、引き続き是非最後までご覧ください。
原状回復特約
原状回復特約は、賃貸契約の締結時の契約に付随して盛り込まれ、借主に一定の損害賠償義務を課します。
クリーニングや張替え費用を借主持ちにさせること等が特約に盛り込まれることが多いです。
経年劣化や通常磨耗は貸し手側の支払いという原則を外すための契約だと覚えておきましょう。
敷引特約
敷引特約は敷金が残っていても退去時に部屋の借り手への返金を行わない特約です。
2020年から施行された改正民法では敷金の返金することが明文化されましたが、契約時に敷引特約を盛り込んでいた場合には、礼金同様に借り手への返金を行う必要はなくなります。基本的には通常使用による磨耗を補填する意味で特約される性質があると押さえておきましょう。
特約契約の注意点は?
部屋を貸している立場の人間にとって便利な特約にも、注意点があることに気を付けましょう。
以下、詳しく解説していきます。
無効とされることがある
例外を決められる特約は、借主に対しても金銭的な負担を求めることによって、貸主の原状回復費用負担を減らすことができる非常に有用な契約ですが、無効となるケースも多いことには注意しなければいけません。
それは立場が弱くなりがちな家を借りる人が法律で保護されているのが原因です。
特約が無効とされないためには、合理性と借り手の特約認識、意思表示の三つが必要となります。
無効とされない詳しいパターンを覚えよう
無効とされないためには上記の三つの条件を満たすことが必要ですが、具体的にはどうやって条件をクリアすればよいのでしょうか?
合理性を満たすには、原状回復費用を負担する箇所の明確化と費用の指定を行い、求める費用が客観的に暴利で無いことが求められます。「磨耗による修繕費用は借主の負担」といったような箇所や必要金額の指定がない曖昧な契約は無効とされると覚えておきましょう。
また、借り手の特約認識に関しては、借り手側が普通の原状回復を超えた負担を背負うことを理解することが求められます。こちらは少し複雑で、通常の負担分担等を説明した上で、その中でも特別に特約が結ばれることを理解してもらわなければいけません。
貸主の金銭負担を下げる特約ですが、賃貸物件を借りる人の立場が法律で守られていることを忘れてはいけません。
まとめ
今回の記事では、アパートの原状回復費用を詳しく解説しました。原状回復費用の負担は賃貸住宅の管理上とても重要な部分です。
一つ一つの額の差は少額ですが、扱う賃貸物件の数が増えれば増えるほど大きな差額を生み出します。少しの配慮で減額できる部分も多いので、今回の記事を参考にぜひ原状回復費用を下げる工夫を試みてください。
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※当コラムはあくまで個人的な見解に基づくもので、内容についてはご利用者様自身の責任においてご判断ください。