古くなったアパートの建て替えどきはいつ?耐用年数とタイミング
アパートの賃貸経営をしていると、物件が古くなればなるほど、家賃を下げたり入居率も下がったりして、収入が減ってしまうリスクがあります。そんな時、建て替えるべきか、なんとか維持すべきか、そのタイミングがわからず困ってしまいますよね。
実は、そのタイミングを間違ってしまうと、節税効果がなくなったり、融資も通らなくなったりしてしまうので、注意が必要です!
そこで、今回の記事では、アパートの建て替えどきについての重要ポイントを深堀りしていきます。
アパートの建て替えどきって、いつ頃が目安?
アパートの建て替えどきって、いつ頃が目安になるのでしょうか。
結論として、築30年を超えたときから、と言われています。この築年数を超えていると、アパートの資産価値を維持するための費用がかさむ傾向にあり、更にいうと入居率の悪化から収益の落ち込みも懸念されますが、なぜ、『築30年が目安』と言われているのでしょうか。
そのポイントの一つが、『耐用年数』です。
簡単にいうと、そのアパートの「使用可能期間」のことです。
通常の維持補修を行うことを前提とされていて、税務上「法定耐用年数」が決められています。
建物に関しては、構造によってその年数が異なります。
・木造…22年
・木骨モルタル造…20年
・金属…19年~34年(金属の厚さによる)
・鉄骨鉄筋コンクリート造…47年
・鉄筋コンクリート造…47年
例えば、築30年の木造アパートであれば、耐用年数が切れて8年という年数になります。
耐用年数が切れれば、銀行側の基準としてその建造物に資産価値なしと判断されてしまい、さらには、経費として減価償却費も計上できず節税効果も期待できません。
この法定耐用年数は、あくまで税務上での年数であるため、年数を過ぎても、価値が完全になくなるわけではありませんが、アパートローンの返済も終わっている時期でもあるため、30年ほどで建て替える人が多いと言われています。
アパートの建て替えのタイミングを逃すと、どんなマイナスが?
1つは、収益の悪化が懸念されます。
アパートの築年数が経てば経つほど、入居率が悪化することは一般の方でも想像がつきますよね。
入居率が下がれば、当然収益も落ち込んでしまいます。入居率は賃貸経営において唯一のキャッシュポイントとなるため、ここが悪化することはなんとしてでも阻止したいところです。
2つ目が、維持管理費の増加です。
アパートの入居率が下がることで収益も落ち込んでしまいますが、設備の老朽化によって維持管理費もかさみます。
例えば、外壁塗装では10年から20年のスパンで塗り替えを行わなくてはなりません。2階建てアパートの外壁塗装の費用は、使用する塗料にもよりますが大体120万円から300万円の幅がかかります。その他にも、ちょっとした備品の破損などで、大事な資金はどんどんと流出してしまいます。
入居率を上げるために、内装を整えたり、キッチンやお風呂などの設備の入れ替えが必要になるかもしれません。
3つ目が、耐震性や耐久性の問題です。
続いて築年数が古いアパートの問題点としてあげられるのが、耐震性や耐久性の問題です。
アパートが古くなれば古くなるほど、この両方に問題が出てきます。特に耐震基準の話で言うと、旧耐震基準と新耐震基準の問題があります。築年数が30年を大幅に超えるような不動産では、旧耐震基準での建築となっている可能性もあり、早急な建て替えを検討した方がよいでしょう。
ちなみに木造に限ると、新耐震基準よりも新しく2000年耐震基準が整備されているため、築30年よりも時期が短くても、建て替えを行って耐震性を向上させた方が良い結果になる可能性もありますよ。
万が一の事態に備え、入居者の生命を守るためにも倒壊などがないようにしたいところです。
アパートの建て替え時期が来たら、どんな選択肢があるの?
アパートの建て替え時期が来た。でも、建て替える余裕もない。
こんな時、建て替え以外に、どんな選択肢があるでしょうか。
・フルリフォームを行う
・アパートごと売却する
・アパートを解体して土地を売却する
この3つが考えられます。
フルリフォームは内装や外装を一新して、アパートをリニューアルすることを指し、老朽化があまり進んでいない物件には有効です。ただし、フルリフォームの方が建て替えよりも高くつく場合もあるので注意が必要です。
アパートの売却は耐用年数が残っている場合には有効ですが、耐用年数が切れて老朽化してしまったアパートはよほど立地が良くなければ買い手がつきません。もし、売却を考えるのであれば解体費用を支払い、アパートを解体して土地を売却するほうが得策でしょう。
アパートを建て替える時、どんなことに注意したらいいの?
アパートを建て替える際の注意点として、一番厄介なのが入居者の退去問題です。
この問題は借地借家法に基づいて処理されるため、あなたの独断で行ってはいけません。更新月の少なくとも半年前に書面にて交付し、場合によっては引っ越し代金などの立ち退き料も支払う必要が出てくるので注意が必要です。
これはフルリフォームや解体して売却する際にも言えることですが、住居を変えることは入居者にとって相当なストレスになるため、きちんと対応したいところです。
建て替えのタイミングを逃すと、節税効果がなくなるって本当?
建て替え時期の目安として、築30年という数字が出てきましたが、その一つの要因として、アパートの耐用年数問題がありましたね。
耐用年数は、減価償却に関わりアパマン経営を行っていく上でかなり慎重に見ていかないといけない点です。建物の資産価値がどれだけのスピードで減っていくのかを規定したものが耐用年数であり、寿命とは全く違う考え方になることに注意しましょう。
こういった理由から、耐用年数が切れたから必ず建て替えを行うか解体しなければいけないという法律はどこにもありません。ただし、客観的な資産価値が0になる時期を明確に決められているため、銀行の融資を受ける際の担保に供するときなどの評価基準になる点に注意しましょう。
減価償却とは、資産性のある時間とともに価値が薄れていくものを時間の経過とともに減価分を費用として経費計上する会計上のルールです。償却の仕方については、定額法と定率法がありますが、構築物に関する規定として定額法のみが採用されています。(2016年4月以降建設・購入したもの)
減価償却率で以下の計算式から求めることができます。
1÷法定耐用年数(19年〜47年)
木造であれば1年当たりアパート建設費の4.6%ずつ、RCであれば2.2%ずつを経費として計上していくことになります。割合に直すと低い数字に思われがちですが、アパートという最低1,000万円程度が動く商品を扱うと算出される経費も大きくなります。
減価償却は、節税効果が高いという点においてはほとんど全ての人が納得するところです。なぜなら、経費という名目で減価償却費が計上されますが、あなたの手元からお金が出ていくことはありません。手元にお金を残した上で税制上あなたの収入を赤字にすることもできるということです。
これは、不動産所得は株式のように分離課税ではなく、総合課税であるからです。
もし、あなたがサラリーマン大家でも、給与所得と不動産所得を損益通算することができてしまうんです。損益通算を通して赤字にすることができれば、各種税金がかなり浮くことになりますよね。節税に成功しつつ、その減価償却費として計上したお金がそのまま手元に入ってくるため、返済を早くして、耐用年数内に繰り上げ返済を目指すことも可能ですよ。
また、融資の返済期間は耐用年数による金融機関がほとんどのため、耐用年数をできるだけ長くして融資期間も長くすることが可能です。
融資期間が長くなれば、月々の支払い額を抑えることができるようになりトータルで支払う金額は高いですが、月々のキャッシュフローが改善し手元に残るお金が増えますよ。
アパートの耐用年数が過ぎると、どうなるの?
アパートの耐用年数が過ぎてしまうと、物件の収益性がかなり悪くなってしまいます。収益性が悪くなる理由としては、ローン審査の面と減価償却費を計上できなくなるからです。
なぜ、この2点が起こると収益性が悪くなるのでしょうか。
まず、ローン審査が通らなくなります。
耐用年数が過ぎたアパートは金融機関からの融資が通らなくなります。あなたがもし、現在の金融機関よりも安い金利で借り換えができるところを見つけたとしても融資付は非常に厳しいでしょう。
この理由としては、耐用年数が切れた物件は、減価償却の考え方から資産価値が0になっているからです。
金融機関もリスクをとってお金を貸し付ける以上、客観的な担保価値がどうしても必要です。あなたが金利を下げキャッシュフローを改善しようとしたとしても、耐用年数の問題から骨折り損になってしまう可能性が非常に高いです。
もう1つの理由が、減価償却ができなくなることです。
耐用年数が切れれば、当然減価償却を経費として計上することができません。これが意味するところとしては、節税効果が全くなくなるということです。
具体的に試算をしてみるとよく分かるので、前提をおいて計算していきましょう。
前提としては、購入費が1,000万円で木造アパートを建てたとして計算していきます。
年の収益が60万円として、新築時と耐用年数が切れた際の節税効果を確認していきましょう。
新築時=60万円−1000万円×4.6%=14万円の不動産所得
22年経過後=60万円
差し引き46万円分もの節税効果がなくなってしまっていることがわかりますね。しかも、先ほどもお話したように節税といっても46万円は手元に残っているお金になります。
この差は非常に大きいです。
耐用年数が切れたアパート物件は建て替えを検討した方がいい
耐用年数が切れるということは、それだけ築年数も古くなっており冒頭でお話した入居率の悪化なども懸念されます。
税制や融資の面、そして経営の面で三重苦を味わうよりも建て替えを行ってより収益性の高い物件に変えた方が安定につながる可能性も高いです。それを見越して不動産収入が入ったら入った分だけ使うのではなく、建て替え資金をプールしておくことも重要ですよ。
また、構造に関わる法定耐用年数を伸ばすことはできませんが、その他の附属設備は可能です。
例えば、金属製の日よけを新たな附属物として作れば、少ないながらも15年の節税期間を得られることになります。こういった入居者の生活環境をより良くしたり、建物の資産価値をあげるための投資は惜しみなく行うと良いでしょう。
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※当コラムはあくまで個人的な見解に基づくもので、内容についてはご利用者様自身の責任においてご判断ください。