新築の木造アパートの建設費、メリット・デメリットを解説
「新築の木造アパートって建設費っていくらぐらいなの??」
「新築でも木造アパートなら安いってホント?」
「木造アパート経営って正直どうなの?」
こんな疑問やお悩みありませんか?
一口にアパートといっても、鉄骨造やRC造、木造など材質の種類は様々で、一体どういった物件を建築すれば良いのか迷ってしまう方もいますよね。
そこで、今回の記事では建物の種類の一つである木造アパートのメリットとデメリットを詳しく掘り下げていきます。
併せて金銭面における知識や注意点も解説していくので、是非最後までご覧ください。
新築の木造アパートを建築するメリットは?
まず初めに新築の木造アパートを建築するにあたって、経営者にどのようなメリットが発生するか紹介していきます。
①他のアパートよりも比較的費用が安い
一つ目に挙げられる利点としては、木造アパートは建築に掛かる費用が比較的安価に済みやすい点が挙げられます。
不動産投資は初期投資に掛かる金銭が大きいため参入しにくい部分がありますが、木造のアパートは建築の代金が安価に済むので障壁を幾分か下げてくれるのです。
自己資金に乏しかったり、銀行からの多額の借り入れが難しかったりする場合には木造のアパート建築は有力な不動産投資の手法となります。
構造別坪単価まとめ
費用の安い木造アパート建築ですが、具体的にはどれくらいの金額になるのでしょうか。
構造別に見た際の、アパート物件の延床面積1坪あたりの建築費用は以下の表の通りです。
建材 | 延床面積1坪あたりの建築費用 |
---|---|
木造 | 50~60万円前後 |
鉄骨造 | 70~80万円前後 |
鉄筋コンクリート造 | 80~120万円前後 |
ただし、物件を建築する代金は材料の流通や技法、仲介業者に取られる利益などで非常に相場が上下しやすい料金でもあります。
そのため、利用する建築業者や時期等の要素が同じ条件であった場合に木造のアパートが最も安く済む可能性が高いと理解しておくことが大切です。
②減価償却期間が短いため他のアパートより単年度の節税額が大きい
もう一つのメリットとして減価償却期間が短い点も挙げられます。
建築構造別の減価償却期間は以下の表の通りです。
建材 | 耐用年数 |
---|---|
軽量鉄骨造(骨格材3mm以下) | 19年 |
木造 | 22年 |
軽量鉄骨造(骨格材3mm超4mm以下) | 27年 |
重量鉄骨造(骨格材4mm超) | 34年 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 |
木造のアパートは減価償却期間が短い分、期間の年数で割って必要経費として毎年計上していく減価償却費用は高くなります。
必要経費として計上した分は、課税対象となる所得から差し引くことが可能なので一年あたりの節税効果が木造建築物件は高くなるのです。
耐用年数が22年の木造と比べて年数が47年となる鉄筋コンクリート造であれば、物件価格÷耐用年数で導かれる年間の減価償却費用が大きく下がってしまう可能性があります。
③修繕費用が安く済む
3点目の大きなメリットとしては、中古に比べ修繕費が抑えられる点です。
不動産経営の要であるアパートは経年劣化や故障の心配に常に悩まされ、定期的な管理費と不定期な修繕費が発生します。
管理維持費は経営を始める前段階である程度の計算できるため事前の利回り試算に考慮できます。
しかし、突発的に発生する修繕費は事前に想定しておくことは困難です。
修繕の程度によって支払い額が大きく変わりますが、新築の木造アパートであれば、中古や木造以外のアパートと比べて修繕費も比較的安く済む傾向にあります。
修繕費用の目安はどれくらいになるの?
木造アパートの修繕費についても少し深掘りして、おおよその目安についても紹介していきます。
1〜2LDKの木造アパートを例にすると、30年間の経営でアパート物件1戸当たりの修繕費は約200万円だといわれています。(※国土交通省計画修繕ガイドブックより)
アパートの修繕内容は階段やベランダの塗装から排水溝の洗浄、室内設備の修理・交換などです。
注意して欲しいのは、10年程度のスパンで屋根と外壁の修繕が必要となるため、築11~15年や築21~25年のタイミングで一気にアパート物件の修繕費が跳ね上がる危険がある点です。
先程紹介したガイドブックから引用すると、上昇期1期目は1戸あたり55万円、2期目がおよそ115万円となっています。
④集客が楽
4つのメリットは、集客が格段に楽になることです。
もちろんボロボロの部屋に住むよりもピカピカの新しい部屋に誰でも住みたいと思うものですよね。
同じ家賃であれば新築アパートを選ぶ人の方が圧倒的に多いはずです。情報を公開すればあっという間に埋まってしまう可能性も非常に高いでしょう。
ただ、家賃設定は地域の家賃相場だけでなく投資の回収や借入金の返済を視野に入れなければなりません。
そのため、アパートの取得に掛かった初期投資の費用は家賃設定に大きな影響を与えます。家賃の価格は入居者にとって賃貸を借りる上での重要な基準です。
相場よりも高い家賃になればなるほど集客は難しくなるので、新築とは言え家賃設定には注意が必要です。
木造アパートを建築するデメリットは?
木造アパートのメリットについて理解できたところで、次はデメリットの部分を紹介していきます。
①住環境がその他のアパートと比べて住みづらい
まず一点目のデメリットは、木造アパート特有の生活のしづらさの問題です。
より具体的に述べると、鉄筋造で建築されたアパートなどと比べて遮音性が低いといった問題があります。
アパートの入居者の立場から見た場合、自分の部屋では出来るだけ自由に過ごしたいのですが、木造物件は隣や上下の階の部屋の住人に配慮して生活音を調整せざるを得ず、窮屈さを感じてしまう瞬間が度々存在します。
生活のしづらさは入居者の定着に大きく影響するので、軽視できるデメリットではありません。
②築年数が古いイメージを持たれるかもしれない
木造アパートは劣化の速度が速いため、実際の築年数が浅くても劣化具合から古い物件だと勘違いされてしまう可能性も高いです。
もちろん、太陽光や雨に弱い木造アパート物件の性質を補うための塗装工事や防水工事によって一定の耐久性は保持されていますが、鉄筋などの建材に耐久面では勝てません。
築年数が古いと見なされたアパート物件は入居者の人気も薄く、募集のために家賃の値下げを強いられる可能性もあるので、意外と大きなデメリットとなります。
③保険料が高くついてしまう
保険料が割高なのも木造アパート物件の難点です。
当然のことですが、木造アパート物件は火に弱く1箇所の出火でアパート全体が全焼してしまう可能性もあるので、保険会社もリスクを加味して高めの火災保険料を設定しています。
住宅ローンを借りる際には保険への加入が銀行側から求められることがほとんどですし、無借金で投資を行う際にも万が一のことを考えて保険に入るのが基本です。
そんな不動産投資の必要経費とも呼べる火災保険料が上昇するデメリットが木造には存在します。
新築木造アパートを建てる際の費用はどれくらい?
この項目ではメリットの項目で触れた木造アパートの費をより詳細に解説していきます。
実際の平均的な価格は2,200万円程度が本体工事費用となっており、そこに合わせて付帯工事費用と諸費用がかかってきます。
木造アパートを建設する場合には、大体の目算で3,000万円程度を用意しておく必要があります。
では、実際に本体工事費用などがどのように決まっていくのかを確認していきましょう。
本体工事費用
まず不動産物件には欠かせないアパートの本体の価格ですが、木造物件は延床面積1坪当たりで約50万円~60万円の費用が掛かります。
ちなみにアパートの総工事費の7割~8割程度を占めるのが本体の価格だといわれていて、他にも駐車場やエアコンの設置といった付帯工事費、手続きに掛かる諸経費などが残りの2~3割を占めています。
各部屋やアパートの基礎部分の工事といったアパート本体に関する工事に関しては、延床面積1坪あたり50万~60万円を想定し、建築する物件の大きさに合わせた試算を行っていきましょう。
ただし、建築費はハウスメーカーや工務店といった業者や仲介業者の存在によって大きく上下する可能性が高いので、複数の会社に見積もりを出して地域における実際の相場を割り出すことも大切です。
付帯工事費用
次に必要なのが付帯工事費と呼ばれる物件のインフラ整備費用です。
工事の幅は広く、エアコンの設置といった簡単なものから、水やガス、電気といった工事まで含まれるのでそこまで安価に済ませることは難しいです。
また、土地の環境によっては住民のインフラを整えるためにより多額の費用が掛かる可能性もあります。
不動産の取得に関わる費用と併せて総工事費の1~2割程度が掛かる点は覚えておきましょう。
その他諸経費
不動産を取得するとなると実に色々な経費が掛かってきます。
代表的な項目を挙げると保険料や登記費用、不動産の取得税等ですね。ちなみに不動産取得税は相続時等の支払いの必要がありません。
ですが、不動産取得税に関しては注意の必要もあるので少し補足を入れておきます。
不動産取得税の注意点について
通常、アパートと土地の不動産取得税は両方とも価格(課税標準額)×税率(3%)で求められますが、令和6年度までに取得された宅地に関しては土地の課税標準額は2分の1まで軽減されます。
この話題の中でも、特に混乱しやすいのがアパート物件の課税標準額で、実はアパートの購入費用が総工事費用そのまま課税標準額になるわけではないのです。
現実には、固定資産台帳に登録された時点での評価額となるため、国の基準によって評価された物件の評価額に税率を掛けなければいけません。
ただ、安心してほしいのは、基本的には課税標準額は工事費用や購入価格よりも7~8割程度下がるのが基本だということです。
諸経費の中の物件に関わる税金で混乱しないためのポイントとして、実際のアパート価格と国による査定額には乖離がある点を理解しておきましょう。
木造アパートの建築費用を抑えるポイント3選
実際に木造アパート物件を建築しようと考えた際に考えたいのが費用を出来る限り安くする方法ですよね。
建築費用自体を安く抑えれば利回りを上げられる可能性も高まりますし、設備のグレードアップや入居者を集めるための施策に資金を投入できるようになります。
そのため、この項目では木造アパート物件を建築する際の、費用を安く抑えるコツを解説していきます。
ポイント1:アパート構造にこだわらない
木造アパート物件を建築するにあたって費用を削れる部分はどこかというと、それは設計の部分です。
木材の材質を下げるのは劣化の進行を早めたり、入居者の定着に悪影響を及ぼしたりする心配があります。
デザイン費用を安く抑えるにあたっては規格型のアパートを選ぶのが一つの手となります。
規格型の住宅はあらかじめ建築業者が提示しているカタログから選んで選択するため、新しく設計するための費用が掛かりません。
逆に注文型の住宅だと新しく設計する時間や費用も掛かりますし、注文に必要な建材を新しく用意するとなると材料費が高くなります。
工務店よりも大手のハウスメーカー等の方が規格住宅の種類が豊富なため、規格住宅を選ぶ際には大手の建築会社を利用するようにしておくと、自分の目的に合った物件を見つけられる可能性が上がるでしょう。
ポイント2:不動産会社や建築業者を丁寧に選ぶ
物件の建築費用を削減するには依頼する業者を丁寧に選ぶようにすることをおすすめします。
というのも、不動産会社や建築業者によって物件の建築費用の見積もりが大きく変化し得るからです。
信頼できる業者と懇意であればその会社に頼むのも良いですが、あまり伝手がないのであればいくつかの業者に相談を行っておくのが無難です。
複数の会社に見積もりを出して相場を知った上で最終的な依頼を出すのは、手間にはなりますが適正な費用を知るためには必要な行為です。
ポイント3:デザイナーズアパートは避ける
3つ目のポイントはデザイナーズアパートを避けることです。
最近では数も減りましたが、バブル期にはデザイナーの発想に任せて独特のアパートを設計する試みが流行しました。
デザイナーズアパートは材料費だけでなくデザイナーに対する高額な設計料が発生するため、木造アパート建築を安価に済ませたいのであれば、やはりデザイナーズアパートはおすすめできません。
木造アパート経営を成功させるためには何をしたらいいの?
最後に木造アパート経営を成功させるための方策を紹介していきます。
専門家に依頼してアパート経営の目的を明確化する
一つ目は不動産会社等の土地活用の専門家に相談をして、アパート経営を開始する目的を明確にすることです。
アパート経営は家賃収入による不労所得の獲得だけでなく、節税や転売による売却益の確保など様々な活用方法があります。
最初にどの目的でアパートを購入するか決めておかなければ、目的に沿った物件選びや経営方針が立てられません。
そのため、土地活用のプロたちに現在の経済状況や将来的に目指したい経済状況を相談して、土地活用の手段に関する適切なアイディアを教えてもらうことが大切です。
木造アパートの他の土地活用にも目を向ける
自分の目的に沿った不動産投資に木造アパートが向いていないと感じたのならば容赦なく切り捨てることも考慮しましょう。
不動産投資における土地活用には木造アパートのような集合住宅経営だけでなく、一戸建て投資や商業ビル経営、駐車場経営といった様々な方法が存在します。
限られた手段しか取れないというわけではないので、自分の求める利益に対してわざわざ不向きな土地活用の方法を選ぶ必要はありません。
自分の目的やその土地に不向きな土地活用を強引に推し進めようとすると、失敗の可能性は高くなってしまいます。
相見積もりを必ず取る
アパート経営に関わる業者に仕事を依頼する際は必ず相見積もりを行い業者毎に価格やサービスの比較を行うようにしてください。
建築業者の相見積もりの大切さについては上述しましたが、リフォームなどの修繕業者を相手にする際にもこの行為は大切となってきます。
初期投資費用だけでなく、年間の支出を抑えていくように工夫しなければ、家賃×部屋数で収益の天井が決まっている木造アパート経営での黒字増加は難しいです。
まとめ
今回は木造アパート経営のメリット・デメリットや費用を安価に抑えるポイントなどを中心に紹介してきました。
木造アパートは比較的安価に始められ、自己資金に限りがある方にも十分におすすめできる土地活用の一つです。
今回の記事で投資すべきメリットを見つけられたのであれば是非始めてみましょう。
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