高齢者が賃貸に住み続ける問題とは?住めなくなる前に今やるべきこと
『高齢者になると賃貸に入居できないって本当?』
『なんでそんな事態に陥るんだろう。解決策を教えて欲しい!』
ご高齢の方の住居確保問題は、意外と深刻で政府が対応する制度を発足させているほどです。
あなた自身やご両親やご高齢のご家族が賃貸に住んでいらっしゃる場合、将来に住めなくなるのは心配ですよね。
そこで、今回の記事では、高齢者の方の賃貸問題についてその背景からお伝えし、対処方法を解説していきます。この記事を読むと、いざというときの備えになるため最後までご覧ください。
入居できる賃貸住宅がなくなるという事実
高齢者になればなるほど賃貸住宅に入居できないという事実は存在しています。なぜ高齢者は賃貸住宅にとって、家主(不動産オーナー)にとって入居してほしくないのか。詳しく解説していきます。
結論としては、『高齢者リスク』の存在があり、このリスクと家賃収入というリターンを鑑みた結果、入居を断られることが多いです。
なぜ高齢者は賃貸住宅にとって招かれざる客なのか
では、何故入居を拒否されるのか、不動産オーナー側にしか分からない高齢者の方の賃貸問題をお伝えします。
不動産オーナーが抱える問題① 入居後に孤独死
独り身のご高齢の方が終の住まいとして賃貸を選ばれると、高い確率で死の現場に立ち会わなければなりません。
入居した後からスグにというわけではありませんが、年々孤独死の可能性が高まっていくことは明白ですよね。
また、孤独死だけでなく様々な要因で入居している方が死去される可能性も考えられます。
例えば、秋から冬にかけての寒暖差が激しい季節に突然死や猛暑日に熱中症で倒れるなどは良くニュースでも耳にする事項です。入居した後にこれらの事項が起きれば、清掃も大変ですし発見が遅れれば告知義務が必要になる可能性もあります。
不動産オーナーが抱える問題② 家賃の支払いが滞る可能性
ご高齢の方が入居されたときには、家主への賃料支払いが滞ってしまう可能性があげられます。
家賃滞納となってしまえば、家主側のキャッシュフローが滞ってしまい、それが原因で不動産経営が成り立たなくなったとなったら目も当てられません。入居している方の家賃滞納には家主側から行使できる法的権利もありますが、実際にはうまく機能するかは別問題です。
現行の法律上、強制執行で口座を差し押さえたとしても口座にお金がなければ差し押さえの効力はあまり発生しません。
不動産オーナーが抱える問題③ 家賃支払いが滞っても賃貸住宅からはすぐに追い出せない
高齢者に限らず入居している方が家主に払う賃料を滞納しても、すぐに裁判所に訴えて契約解除することができません。
一般的に入居している方の家賃滞納実績が3ヶ月程度ないと家主と入居している方の信頼関係が破綻したと言えず、契約解除を行えないことが多いです。
家賃が支払われないということは、その間キャッシュフローが滞ってしまいかつ、設備にダメージが蓄積されてしまうため、損を被るばかりです。
また、高齢者の入居している人を強制執行によって強制的に退去してもらうことは現実的に難しい問題となっています。もし仮に次の入居する先が決まらないときには、命の危険にも関わり、万が一強制執行を行って命を落としたら責任問題となってしまうからです。
執行官による強制執行ではなく、話し合いによる長期的な解決を目指す方が無難でしょう。
不動産オーナーが抱える問題④ 孤独死や突然死は賃貸住宅の賃借権が相続され権利関係が複雑になる
賃貸借契約を結んで入居したまま死去してしまうと、賃借権は当然消滅する訳ではなく、相続の対象になってしまいます。
独居老人の入居者の方はもともと家族関係が希薄な方が多く、権利関係の解消を話し合いで解決したくてもできない状況により、家主の労力がかかりすぎてしまうことは想像に難くありません。
不動産オーナーが抱える問題⑤ 家主ではなく借り主保護に傾きすぎる法律の現状
ここまでの解説で、法律の実務上家主の保護があまり十分ではなく、どちらかというと入居している方が保護されていることが分かりました。その上で高齢者の入居を抱えるリスクまで負担するとなると、家主には到底抱えきれないものになってしまいますね。
一生賃貸住宅に住み続ける問題について
次の項目では高齢者のみならず、現役世代の方にとっても賃貸住宅に住み続けると、どのような問題があるのかについて解説していきます。
前述した項目で賃貸住宅のオーナーにとって高齢者を入居させることは負担でしかない点を説明しました。
では、一体賃貸住宅に入居する側からみるとどのような危険があるのでしょうか。
高齢者が賃貸住宅に住み続けるリスクとは
高齢者が抱える問題① 高齢者お断りの物件が増えている
まず第一に高齢者お断りの物件の数は徐々に増えてきています。
政府もこの状況に危機感を覚え、新たな住宅セーフティーネット制度を導入し、ご高齢の方だけでなく住宅確保要配慮者に対する住宅確保のための補助金を出しています。(なお、補助金は家主側に支給される)
ただし、登録には要件等があることや、高齢者の方を入居させるリスクはオーナー側が負担しなければならないことから、多くの賃貸住宅で導入されているとは言い難い状態です。
高齢者が抱える問題② 更新時に拒否されると行き場がなくなる
普通借家契約であれば、正当事由がない限り入居している方が望む限り賃貸借契約は継続されますが、家主側の都合を理由に立ち退き料を支払われれば契約解除ができてしまいます。
また、定期借家契約の賃貸住宅に入居しているときには、契約満了の1年前から6ヶ月前までに通知を行なわれれば、入居者の事情に関係なく契約が終了します。
住居確保が難しくなればなるほど、定期借家契約の住宅に住むなどの選択肢を取らざるを得なくなってしまうことも考えられますね。
高齢者が抱える問題③ 少ない収入を賃料として払い続ける必要がある
また、定年退職をした方にとって再雇用となっても多くの方は年収は下がってしまいます。
元々格安の物件に住んでたら、あまり問題とはなりませんが現役時代に多くの家賃を支払っていた方は当然、支出における家賃の割合が高くなってしまいますよ。
収入の3割程度が家賃の支払いに当てられると言われていますが、収入が上がっていく前提で作られた設計になっています。収入がこれ以上あがる見込みがなければ、3割のラインではかなりカツカツの生活になってしまうことが予測されます。
医療費などの急な出費に耐えられる預金がなければ、路頭に迷うことも十分考えられます。
高齢者が抱える問題④ 最終的に近親者に迷惑をかけてしまう可能性
上記以外にも様々な危険性が存在しますが、最終的に責任をとらなければならないのは近親者です。
近親者に迷惑をかけないように独居しているのに、いざ入居する先がなくなってしまった場合などには頼らざるをえない状況になってしまいますよね。
こういった迷惑を事前に回避する方法としては、中古物件や新築の一戸建てなど家賃を支払い続ける必要がない家屋を所有しておくことです。
最後の項目ではその点について詳しく解説していきます。
高齢者になる前に備えよう!
高齢者の方が、現役を退いてから家屋を購入しようと考えても、ローンの組成が難しいことから相当潤沢な預金がない限り難しいでしょう。
では、いつから高齢者になってからの住居確保を行うかというと現役世代からということになりますね。
最後の項目では、この住宅確保にフォーカスしてお伝えしていきます。
オーナーに賃料を払い続けるよりも住宅購入を検討する
何度も繰り返しお伝えしていますが、大前提として、オーナーに賃料を払い続けて入居するよりも住宅購入を検討してください。
『40代や50代から住宅ローンを組むのはちょっと無理だな』と感じるかもしれませんが、中古物件であれば、1000万円から3000万円程度の幅で土地付きの一戸建てが購入できる可能性があります。
40代であれば、2000万円程度のローンは比較的組みやすい部類に入るんですね。
また、地方の方であれば、1000万円以下の中古物件も多く存在していますよ。
万が一のときには家族に頼れるようにする
また万が一の場合には家族に住宅の確保について合意をとっておくことも重要です。
これには話し合いが必要になってきますが、独居となったときに希薄化しやすい家族とのつながりを現役時代から強めておくアプローチをしておきましょう。
こちらからお願いすることは、心苦しいと感じるかもしれませんが、万が一孤独死などになった場合にはより大きな負担が家族に降りかかると考え行動を起こしましょう。
高齢者OKな賃貸住宅を探しておく
最後にあなたが所有する物件が見つからない場合の対処法をお伝えしていきます。
まず、先程もご紹介した新たな住宅セーフティーネット制度を利用して、入居が可能な物件を探しておくことが重要です。また、地元の不動産仲介会社などに確認を行って、万が一のときに入居できる先があるかを確認しておくと良いでしょう。
こちらに関しては、すぐに動き出したとしても状況が変わってしまうこともあるので少なくとも定年の1年前程度から動き出すことをおすすめします。
まとめ
今回の記事では、高齢者が賃貸に住み続ける問題について解説してきました。
政府による制度が発足しているほどに、高齢者を賃貸へ入居させるのはオーナー側の負担になるため敬遠されがちで、高齢者がいざ住む場所が必要になったときに入居がどこもできないという事態に陥ってしまう可能性もあります。
こういった事態を避けるためにも、定年前から住居確保のために家を立てたり、買ったりすることが重要です。
万が一、現時点では手元にキャッシュがなくても、40代から2000万円程度の住宅ローンは組むことが可能である点を念頭に起きながら行動しましょう。
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