5分でわかる!自宅兼アパートのメリット・デメリットとリスク回避法
『自宅兼アパートを建てて自宅に住みながら賃料を得たい』
『住宅ローンを使って自宅とアパートを建てられる賃貸併用住宅を考えているけど、実際どうなんですか?』
こんな疑問やお悩みはありませんか。
土地活用を考える上で、住宅を作って自分で住んだり、賃貸住宅を作って人に貸したりなど様々な方法があります。
自宅をつくるためのローンである住宅ローンは、金利が1%程度となっており金利負担も少なめです。この住宅ローンを使ってアパートと自宅が建てられたら一挙両得をできそうですよね。実は、自宅兼アパートである賃貸併用住宅ではその一挙両得が可能かもしれません。
そこで、今回の記事では土地に住宅を建てて活用したい方に向けて、住宅ローンを使ってお得にアパートを建てる方法を伝授していきます。
この記事を読むと、土地活用の一つとしてどれだけ賃貸併用住宅が有効かが分かるので是非最後までご覧下さい。なお、この記事では、アパートローンと住宅ローンの金利差や住宅ローン控除の適用条件など細かいところにまで踏み込んでいますので、じっくりと読んでみてくださいね。
自宅兼アパートの正式名称は?
土地活用で住宅を建てる際の方法として考えられる自宅兼アパートには正式名称が存在していおり、その正式名称は賃貸併用住宅と呼ばれ、アパート経営の中でも特殊な部類に入ることはご存知でしょうか。
そこで、まず自宅兼アパートの定義を再確認しつつ、どのようなメリットがあるのかここでは解説していきます。土地活用の一つとして税制面やローン面で有利な点がたくさんありますよ。
賃貸併用住宅の定義
土地活用として賃貸併用住宅になるかどうかは、銀行融資が降りるかどうかによって大きく異なってきますが、同じ土地の上に自宅と賃貸用の住宅が建っていれば広義の後ほど詳しく解説しますが、賃貸併用住宅は住宅ローンで建設でき、通常のアパートローンよりも低金利になることがほとんどです。
そのため、明確な定義としてはあなたの住居を備えたアパートを住宅ローンで建設出来れば賃貸併用住宅であり、それ以外は通常のアパートという風に定義づけできますよ。また、広義の意味として、土地の中に自宅と賃貸が存在していれば賃貸併用住宅として言うことができます。
ただし、この場合には住宅ローンが使える住宅とそうでない住宅に分かれる点に注意してくださいね。
土地活用に関して最初から明確に名称が決まっている場合が多いですが、賃貸併用住宅は基本的に住宅ローンを使えれば、その名称となると言えます。
土地活用としての賃貸併用住宅のメリットについて
では、賃貸併用住宅のメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
この項目では大きく分けて3つご紹介していきます。
土地の固定資産税を低く抑えることが可能
土地活用として自宅兼アパートを建てる場合には、土地の固定資産税や市街化区域の場合都市計画税を節税できます。
具体的な試算としては、土地の上に建てる物件の大きさにもよりますが、土地が更地の場合の評価額の6分の1と3分の1になりますよ。小規模住宅用地の特例もしくは一般住宅用地の特例と両方を採用することで土地の税額をかなり節税できます。
ちなみに、住宅用地の特例は1戸あたりの床面積によって土地評価が分かれる点が重要です。
例えば、土地の上に立つ住戸1戸あたり200平米で2戸か400平米で1戸かで異なってきますよ。前者は400平米までの土地が6分の1の評価額となり、後者は200平米までの土地が6分の1の評価減、それ以上の土地に対しては3分の1の評価減となるんですね。
同じ面積、評価額の土地で考えるとなると税額が異なってくることが分かります。
住宅を建てるだけでは大きすぎる土地を持っている方は、土地活用の一つとして自宅兼アパートである賃貸併用住宅を考えてみるといいでしょう。
また、都市計画税に関しては土地の区分は固定資産税の特例と同じようにして、減額幅が変わります。小規模住宅用地は土地の課税標準額の3分の1に、一般住宅用地と認定されれば土地の課税標準額が3分の2まで評価額が下がります。
大きすぎる住宅を適切にリサイズできる
自宅兼アパートはである賃貸併用住宅は大きすぎる住宅を適切にリサイズし、あなたにとって住み心地の良い住宅を確保しつつ、キャッシュフローを稼ぎ出す賃貸部分を生み出すことが可能です。
土地活用というよりも住宅活用となりますが、一人で住むには大きすぎる住宅の一部を他人に貸し出すことによって、あなたの住宅をリサイズし、所得を発生させるという一挙両得な施策を打ち出せてしまいます。
また、後ほど紹介するオーナー住宅を別棟として扱う賃貸併用住宅の方式を取ることで、住宅に対して大きすぎる土地に新たに別棟として賃貸アパートを建てるという方法もありますよ。
住宅ローンでアパート経営ができる
土地活用を考える際には、大きな金額が動くためできる限りローンを使用して土地活用を行っていきましょう。
例えば自宅兼アパートの賃貸併用住宅ではなく、他人が住むだけの通常のアパート経営となると下限が5000万円程度が必要になってきます。基本的に通常のアパート経営では、アパートローンを組むことになりますが、アパート兼自宅の賃貸併用住宅であれば住宅ローンで賄うことも可能なんですね。
両者の違いは明白で、かなり大きな金利差を生んでしまいます。この金利差については次の項目で詳しくお話しますね。
一般的なアパート経営のローンはどうなっているの?
では、話を簡単にするために土地活用の手段として、アパート経営を行うために賃貸併用住宅を建てる、もしくは一般のアパートを建てるでも5000万円が必要と前提を置きます。
この金額を通常のアパートローンで賄うとなると、年利3%程度を支払わなくてはいけません。でも、賃貸併用住宅で、自宅とアパート併用した住宅を建てるのであれば住宅ローンを使用できます。後ほど詳しく解説しますが、自宅用の面積が50%以上であれば、多くの銀行で通常の住宅ローンでの融資を受けられます。
また、少し絡め手になりますが、アパート経営を円滑に行うために、より金利を抑えたい場合には自宅部分の建設費に限ってフラット35を使用することもできますよ。
一般の住宅ローンであれば、変動金利で0.5%程度、固定金利でも1%程度の融資が受けられてしまうんですね。この差をざっくりと試算してみた結果、アパートローンでは利息分だけで3000万円を超えてしまいます(35年返済)。
また、固定金利の住宅ローンであれば、900万円程度で済むんですね。差し引きとして2100万円分の違いが出てしまうほど、土地活用を考えるときはローンの金利は大事なものなんです。
自宅を確保しながらアパート経営を行うことができる
そして最後のメリットですが、賃貸併用住宅では、住宅を確保しながらアパート経営を行なえます。
もし仮に、あなたが自宅を別の土地に建てるとなると二重にローンを支払うことになってしまいますよね。でも、自宅兼アパートを建てて住宅を確保しつつアパート経営を行うことができれば、ローンを一本化でき支払い管理もより簡単になりますよ。
支払日が一本化されることで、アパート経営に必要な資金繰りにあくせくすることも少なくなり、収入が得られれば、住宅ローンの支払日に備えて資金を準備するだけでいいんです。更に言うと、ローンを支払ってカツカツな状態でも、最低限住居を確保できる点は賃貸併用住宅のアドバンテージと言えるでしょう。
賃貸併用住宅は3つのパターンに分けることができる
さて土地活用としての自宅兼アパートのメリットをお伝えしたところで、次にどのような自宅兼アパートのパターンが容易されているのかを解説していきます。
結論から言うと、賃貸併用住宅のパターンは大きく分けて3つに分類することができますよ。その分類について、どのような自宅配置になるのかをここでは解説していきます。
アパート部分が50%未満の賃貸併用住宅場合
賃貸併用住宅で、アパートの賃貸部分が50%未満、自宅部分が50%以上の場合にはメゾネットタイプの縦割り型か、横割り型が主流です。
メゾネットとは、住居の中に階段が存在し、一階部分と二階部分に分かれているものを指し、上階からの音漏れをあまり気にせず、空間を自由に使えるという特徴があります。
また、横割り型は自宅用住宅とアパート用住宅で1階2階が分かれているパターンで、2階部分に自宅を区分けすることによって住人の生活音を気にせずに生活できるというメリットがあります。一方で、アパート入居者にとってはやはり2階部分に入居したい需要も高く、入居者募集に力を入れたい場合には、入居者用住宅を2階にするということも考えられますよ。
アパート部分が50%以上の賃貸併用住宅の場合
賃貸併用住宅で、アパート入居者用の住宅が50%以上を占め、自分用の住宅が50%以下になったとしても、住宅ローンを組める場合があります。
多数の銀行では住宅ローンとしての取り扱いではなく、アパートローンとしての取り扱いになりますが、一部の銀行では住宅ローンとして取り扱いがあり、申請が通れば賃貸併用住宅として成り立ちます。ただし、住宅ローン控除が使えない点には注意しましょう。
自宅部分が別棟になっている賃貸併用住宅の場合
自宅部分が別棟になっている場合には、大家さんのプライバシーが保たれつつ、自宅部分と入居者用の住宅部分を自由に設計できるようになります。
建築費用は高くなりがちですが、プライバシーを守ることと、自宅とアパート両方で自由度の高さに価値を見出だせる場合にはこちらを選択するといいでしょう。
アパート部分が50%未満の賃貸併用住宅の特徴
さて、アパート入居者の住宅部分が50%未満の賃貸併用住宅の特徴をここでは解説していきます。
ここでの解説の結論としては、実物資産である不動産を購入して行う投資の中では、比較的ローリスク・ローリターンで投資を行える点です。その根本は住宅ローンでアパートを建てられ、住宅ローン控除も適用できる点にあります。
メリット① 住宅ローンが簡単に組めることが多い
アパート入居者用の住宅部分が50%未満で自宅部分が50%以上の賃貸併用住宅の場合には、繰り返しになりますが簡単に比較的多くの銀行で住宅ローンを組むことができます。
後ほど詳しく解説しますが、住宅ローンはアパートローンと比べて金利が3分の1程度と安く抑えられており、この背景には賃貸併用住宅をオーナーが自宅として使用することが含まれています。数千万円の借入を行うことで、たった数%の違いでも金利リスクは格段に異なってくるため、自宅を併用するだけで、リスクを抑えたい人向きの建設方法であると言えますね。
メリット② 自宅部分に住宅ローン控除を適用できる可能性がある
アパート部分が50%以下の賃貸併用住宅では、税制上の優遇点として、住宅ローン控除によって一定期間所得税を安く抑えることができます。住宅ローン控除は一般的には自宅を建設した人用の税制優遇処置だと思われがちですが、自宅兼アパートである賃貸併用住宅にも適用できると覚えておいてくださいね。
住宅ローン控除の取得要件
アパート部分が50%未満の賃貸併用住宅を建設すると、住宅ローン控除を利用することもできます。住宅ローン控除の取得要件は、自宅部分が50%以上かつ床面積が50平米以上であること、ローン返済期間が10年以上である場合に、所得税から一定額が控除されます。
一点注意が必要なのは、住宅ローン控除はあくまで自宅部分にのみ適用されることです。自宅面積が50%で、5000万円の融資を組み返済を行うとなると適用部分は半額の2500万円の部分になりますよ。
令和元年10月令和2年12月までは住宅ローン控除の期間が更に拡充され13年間控除を受けることができるので、賃貸併用住宅をお考えの方でまだ確認していない方は、必ず確認するようにしてください。
気になる住民税の控除額を試算してみよう!
さて、住宅ローン控除によってどれだけの節税効果があるのかを確認していきましょう。
前提としては先程紹介した、自宅面積が50%で銀行融資は5000万円としています。所得税からの控除については、住宅ローン残高の1%もしくは住宅取得対価の1%のいずれか安い方になりますよ。※上限は4000万円
ここでは、話を簡単にするべく、住宅ローン残高の方が安いとします。賃貸併用住宅の場合の住宅ローン控除は、自宅部分にのみ適用されるため、以下の計算式が成り立ちます。
住宅ローン控除額=住宅ローン残債×自宅部分面積(%)×1%
この式に対して、先程の前提を代入すると1年目は25万円が所得税課税額から控除されますよ。この金額はローン返済が進んでいく毎に少なくなっていきますが、返済が進めば、金利の負担も少なくなり家計が楽になっていきます。
デメリット① 土地活用としての賃貸併用住宅は期待利回りが低くなる
土地活用として、50%以上が自宅である賃貸併用住宅では、期待利回りが低くなる可能性が高いです。実際に全ての部屋がアパート入居者用の集合住宅と比べると、50%減になってしまいますからね。
投資においてリスクリターンはトレードオフとなっているため、リスクを低減してしまうとリターンもほとんどの場合低減してしまう可能性がありますよ。
デメリット② アパート経営における空室リスクが非常に大きい
この形態の賃貸併用住宅は、自宅部分の大きさからアパート部分をそれほど多く用意できないため、一般のアパート経営と比べ空室リスクが高くなる可能性もあります。2階建て賃貸併用住宅で自宅とは別に入居者用住宅が5戸の場合では、1室空室が出ると、全てを賃貸に回した場合と比べて、約2倍もキャッシュフローに影響が出てしまいます。
これはなぜかと言うと、賃貸併用住宅の場合は1室あたり空室がでると20%の損失、自宅部分を5戸に分けて全て賃貸部分に回した場合には、10%の損失となるからです。
このように自宅が付いている賃貸併用住宅では、入居者用の住宅戸数を制限することから、1室の空室が大きなリスクになる可能性があると考えておきましょう。
デメリット③ 自宅とアパート部分の住戸配置制限が大きい
また、50%以上が自宅部分である賃貸併用住宅は住戸の配置に制限が多いです。縦割り型や横割り型という風にしか設計することが難しく、自宅部分とアパート部分の自由な配置はあまりできませんよ。
ただ、この形態であれば自宅の配置に選択肢が少ない分迷うことがない、といった裏の利点もあります。
賃貸部分50%未満の賃貸併用住宅建設計画について
賃貸部分が50%未満の賃貸併用住宅建設計画で考慮すべきは、賃貸住宅部分の戸数の増加と自宅部分の大きさです。この形態では、住宅ローンを借りるために自宅部分の大きさを基準にして賃貸部分を建設しなければなりません。
そうなると自宅部分を大きくした場合に、自動的にアパート部分も大きくなってしまい建設費用が多額に登る可能性があります。
また、4LDKのように1世帯用の住居のみを賃貸部分として貸し出す場合、空室が続いてしまうと、損失率も100%となってしまうため、できる限りアパート入居者用の住宅戸数を増やしリスクヘッジを行うようにしてください。
1戸の空室が出た場合、前者は100%の損失、後者は25%の損失と約4倍の差が出てきてしまいますよ。(賃料を面積あたりで同じにした場合)
賃貸部分が50%以上の賃貸併用住宅の特徴
さて、続いてアパート部分が50%以上、自宅部分が50%未満の賃貸併用住宅の場合はどうでしょうか。
結論としては、50%未満の賃貸併用住宅と比べて土地活用としてリスクとリターンが上がるということが言えますよ。
メリット① アパート部分の収入を上げることができる
オーナーの自宅を少なくすればするほど、アパート部分の収入をあげることができます。アパート部分の収入を多くすれば、それだけ返済に向けて動くことができ結果的に住宅ローンよりも早く返せたとなることもあるでしょう。
ただし、この結果を出すためには、金利の比較など多方面に渡る綿密な計画が必要なのは言うまでもありませんね。
メリット② 将来的にアパートとして売却できる可能性がある
アパート部分が50%以上だと、アパートの一室がオーナーの自宅であるということもあるでしょう。この場合、自宅自体がアパートの一室のため、投資用不動産とあまり変わらず、売却時に全く売れないという事態は避けられそうです。
ただ、賃貸併用住宅はあくまで特殊な投資方法である点だけには留意しておいて下さい。
デメリット① 金利リスクが高い
土地活用の手段で賃貸併用住宅の中でも、特殊な形態である50%以上がアパート部分である場合には、多くの銀行で住宅ローンとしての取り扱いがありません。その中で止むにやまれず、金利の高いアパートローンを選択してしまうと非常に高い金利リスクに苛まれる可能性もありますよ。
繰り返しになりますが、土地活用では数千万円が動くため、できる限り金利は抑えた方が無難です。
デメリット ②狭い自宅に住む可能性がある
また、自宅が50%未満の賃貸併用住宅だと狭い住宅に住む可能性が高いです。自分が建設したアパートなのに、小さな自宅になってしまうこともあるので、注意が必要ですよ。
将来的な実益のために自宅が小さくても我慢ができる人が選択するとよいでしょう。
賃貸部分50%以上の賃貸併用住宅建設計画について
さて、この形態の賃貸併用住宅の建設計画についてより深堀していきましょう。
ポイントとしては、如何にリターンを大きく取れる設計にするかになっており、ローリスク・ローリターンというよりも、一般的な集合住宅を運用するアパート経営に近くなる点です。
全体の大きさを大きくして、住宅数を増やすことも計画の一つですが、如何に賃貸需要があるかを見抜けるかがポイントとなりますよ。建設費用のみが多額になっても、集合住宅部分に入居者がいなければ全く意味がなくなってしまうので、必ず賃貸需要の調査を行うようにしてくださいね。
3パターンの最後として、自宅が別棟になっている自宅兼アパートについて解説していきます。ポイントとしては、自由に設計を行えることと、相続や売却時に自由度が増すといった点です。同じ土地上に自宅があることから大きな枠組みで自宅兼アパートとして捉えられることから詳しく解説していきます。
ただ、一方で自由度が高いために、注意しなければいけない点もありますよ。
メリット① アパートと自宅どちらも自由設計を行うことができる
繰り返しになりますが、自宅とアパートが分かれているため、統一性などを考慮する必要はあまりありません。広い土地を活かして、自宅とアパートを配置することによってプライバシーなども守られますよ。
当然、自宅には住宅ローンを適用できますが、アパートに関してはアパートローンとなってしまう点には注意して下さい。住宅ローンとアパートローン両方を併用しての融資となる場合が多いです。
メリット② アパートと自宅両方が相続や売却の際の自由度も高い
また、相続や売却の際に比較的自由に自宅とアパートを分割できる点も要注目です。相続の場合には、アパートと自宅をそれぞれ違う法定相続人に分割して相続させることが可能です。
また、売却の際にも、自宅部分のみの売却やアパートのみを売却するといったことも可能です。
デメリット① 土地の分筆によって無理矢理な構造になる場合がある
別棟で自宅兼アパートを建設することで、広すぎる土地を有効に活用できます。
一方小さな土地だと、その広さを十分に活用できず、無理矢理な構造になってしまう可能性も高いでしょう。
土地の分筆によって無理矢理な構造になる点には要注意です。その結果として、土地に構造上の欠陥や次の項目でお伝えする土地の資産価値の減少につながってしまう可能性もありますよ。
デメリット②土地の形状によって資産価値が目減りする恐れがある
土地の形状が別棟でアパートを建設することに向いていないと、全体の資産価値が減少してしまう可能性があります。
例えば、土地を前後に分筆して登記する場合などですね。
土地の分筆を前後で行った場合には、道路の接続のために旗竿地を意図的に作成することになってしまいます。ご存知の方も多いかもしれませんが、旗竿地は一般的に無理矢理な土地構造として、一般の土地よりも資産価値が減ってしまうことが多いんです。
別棟を作り、自宅とアパートを分割することで、大きな土地を有効活用するにはいいですが、土地の形状を良く見ておかないと、更地の方が資産価値が高かったということもありえますよ。
デメリット③ 自宅部分の資産価値がアパート部分と比べて相対的に低くなる
相続税など各種税金では、評価額の減額はアパートなどに偏っているため、意外と自宅の方が価値が高いのかもと考えがちですが、投資家目線で考えると誤りと言えますよ。
自宅はあなた自身が住む家であり、アパートは収益を発生させる資産です。確かに自宅も資産として考えられますが、それ自体では収益が発生しないため、万が一アパートと合わせて売却したいとなった場合には、不動産投資家から敬遠される可能性もあると注意しておきましょう。
自宅部分が別棟になっている賃貸併用住宅の建設計画について
自宅部分が別棟になっている賃貸併用住宅ですが、土地の切り方に注意が必要です。
繰り返しになりますが、土地の文筆で旗竿地などを意図的に作り出してしまうと土地の資産価値や建物の資産価値を目減りさせてしまう可能性が高いです。
こういった事態になる前に、自宅とアパートを別棟で建てられる土地かどうかを専門家と話し合いながら計画を建てて行きたいものですね。
【土地活用】自宅兼アパートが向いている人は?
さて、この項目では自宅兼アパートが向いている人の特徴について解説していきます。
土地活用を考える上で、賃貸併用住宅はやや特殊な活用方法です。しかしながら、土地活用を目指す方の中には、賃貸併用住宅を建てた方が良い方も存在するので、それに当てはまるかここでは確認してください。
土地活用によって節税を行いたい人
大前提ではありますが、土地を更地のまま持っておくことは税務上かなり不利になってしまいます。前述した固定資産税のところでもお話しましたが、土地が更地の場合には原則評価額の低減はありません。
しかし、建物、特にアパートや自宅を建てることによって住宅用地の特例を受けることができ、様々な条件がありますが土地の評価額を下げることができましたね。相続や所有物として土地を所有している人は、更地のまま持ち続けていると固定資産税を何の後ろ盾もないまま払い続けることになってしまいます。
このことから、土地活用を行って収入を得つつ節税に取り組みたいという方は賃貸併用住宅を手段の一つとして考えてみると良いでしょう。
次の項目からはより深堀して、お伝えしていきます。
万が一を考えてアパートローンではなく住宅ローンを組みたい人
住宅ローンを組んでアパート経営を行いたい方は賃貸併用住宅がおすすめです。
この理由としては、賃貸経営を行う上で住宅ローンを組んで金利リスクを抑えながら建設できる収益物件が自宅兼アパートである賃貸併用住宅ただ一つだからなんですね。
住宅ローンについては、金利が通常のアパートローンよりもかなり低率に抑えられていることはお伝えしましたが、このメリットは将来に渡って不可抗力による収入の低下にも耐えられる可能性の向上もあります。一般的なアパートを経営するよりも、自宅とアパートが一緒になった賃貸併用住宅の方がかなりローリスクで経営することができますよ。
より深堀してお話すると、ほとんどありえませんが銀行との話し合いで1年間利息のみの支払いでいいとなった場合を考えてみます。以前の前提通り、賃貸併用住宅を建てるために、5000万円の融資を受け金利3%と1%で最大いくらの利息を支払うことになるかというと、以下の通りです。
※元利均等方式で計算しています。
- 金利3%⇒12万5千円
- 金利1%⇒4万1666円
差し引きで8万円程度の違いが出ていますね。
手取りが20万円程度に下がったとしても賃貸併用住宅であれば、支払いを続行しキャッシュフローを得られる可能性が高いと言うことができますよ。
相続税対策を行いたい人
土地活用を行って相続税対策を行いたい方にとっても自宅兼アパートを建てることをおすすめできます。その理由としては、アパート部分に関しては相続税評価額を下げることができるからです。
まず自宅とアパートの部分については、賃貸併用住宅の場合固定資産税評価額の30%減での評価額となります。
また、土地の部分については様々な条件がありますが、アパートとして土地活用を行う土地であれば、小規模宅地等の特例の適用を受け、最低でも200平米の土地までを評価額の50%減で相続することが可能なんですね。
通常一般の住宅を相続する場合には、30%の評価減を受けることができますが、賃貸アパートの場合はそこから更に30%オフで評価額の減額が行われます。こちらは少し複雑なので、例をあげておくと以下の通りです。
1億円で自宅もしくは賃貸併用住宅を建設した場合、自宅のみの場合評価額は7000万円、賃貸併用住宅の場合はそこから更に30%評価減が起き、4900万円となりますよ。
差し引き2100万円となり、相続税の基礎控除額に迫る勢いで評価減が起きていますね。
家賃収入で住宅ローンをカバーして自宅を手に入れたい人
最後に土地上手く活用し、家賃収入で住宅ローンをカバーしたい方に向けても、アパートと自宅が一緒になる賃貸併用住宅がおすすめです。
先程お伝えしたように、一般のアパートローンを使うか、住宅ローンを使うかで金利に雲泥の差がありました。そのため、賃貸併用住宅を建設し、上手く入居者を募集することができれば住宅ローンの支払いを賃料と相殺することもできます。
上手く行けば、金利リスクを無視して自宅を手に入れることもできてしまいます。
相殺まではいかないまでも、数十%を担保できる程度の賃料が毎月手元に入ってこれば繰り上げ返済も夢ではありません。
【自宅兼アパート】賃貸併用住宅建設には何に注意したらいい?
さてアパート兼自宅である賃貸併用住宅のメリットについて、たくさんの事柄をお話してきましたが、気になるのはどのような注意点があるかですよね。自宅と賃貸を合わせて建てることによって確かにメリットはありそうですが、反面デメリットも多く見えそうです。
そこで、最後の項目では、賃貸併用住宅で自宅を建てる場合に注意すべき点について詳しく解説していきます。
設計ミスは生活に大きな支障がでる
土地活用としての賃貸併用住宅は、あなたの自宅として終の住まいになる可能性が高い物件です。そのため、自宅とアパート部分の設計に関しては特に注意深く確認する必要があります。
例えば、賃貸部分の費用を安く抑え利回りを上げるために、防音設備が不十分の場合、あなたの生活音が漏れる可能性が高く、プライバシーが守られません。
また、音漏れなどはクレーム案件になる可能性が高く、アパート入居者が安定して住む物件にもならない可能性がありますよ。
このようにアパート兼自宅は一度の設計ミスで人生を左右するような出費を台無しにしてしまう可能性も十分にありえるため、余念には余念を入れて設計を行うようにしてください。加えて賃貸併用住宅の自主管理を行う場合には、多少利回りを犠牲にしてでも、できる限り設備面を拡充しクレームが出にくい作りを行っていきましょう。
賃貸需要がないところには意味がない
次に、賃貸併用住宅を建てたところで賃貸需要がなければ全く意味がありません。
例えば、山奥の格安の土地にアパートを建てても需要がないのと同じように、費用を掛けても入居者が集まらなければ収入を得ることすらままなりませんよ。
賃貸併用住宅は、自宅部分と合わせて賃貸部分の工事を行うため、一般の住宅を建てるよりも費用がかかるものです。せっかく投資したお金でも返ってこなければ意味がないため、賃貸併用住宅としての賃貸需要の調査は必須で行うようにしてくださいね。
ちなみに、賃貸需要の調査方法については、不動産屋に聞く、人口動態を調べるなどがあります。アパート部分を建てる前にこうした徹底的な調査が必要ですよ。
自主管理には要注意
賃貸併用住宅は、通常のアパートと比べ利回りが低い投資手法です。そのため、数%の利回りを確保するためにも、自主管理を行う大家さんも多いことでしょう。このアパートの自主管理には必ず注意を払うようにしてください。
特にあなたがオーナーかつ兼業でサラリーマンとして働いている場合には、突発的な事象に対して対応しきれないことも出てきます。
具体例を上げると、あなたの就業時間中に鍵をなくしたとアパート住人からのSOSなどがあった場合ですね。家に入れないなどの突発的な事象は緊急性も高く、自主管理であれば、あなた自身ですぐに対応しなければなりません。
しかしながら、あなたの土地活用のために会社がわざわざ中抜けを許してくれるでしょうか。多くの会社の場合、これは許されないでしょう。
このように自主管理には利回りを上げることができるというメリットがありつつも、こういた負の側面もあると理解しておくといいですよ。
万が一のリスクに常に備えるというよりも、無難に管理会社と契約し毎月の賃料の数%を払うことで柔軟に対応してもらう方が何かと便利なことも多いはずです。
売却が難しいことが多い
最後に自宅兼アパートである賃貸併用住宅は一般のアパートと比べて特殊なアパート経営となり、利回りも低いことからいざ売りにだそうと思っても、売却が難しいことが多々あります。
不動産市場自体が流動性が低いことも相まり、賃貸併用住宅はすぐに売却が決まらないことがほとんどであると考えておくと楽です。
賃貸併用住宅で投資金額を回収し、建設費と同じ程度で売るとなるとかなりの期間を要するのと特殊な条件も必要になってきますよ。
もし、賃貸併用住宅をすぐにでも現金化したい場合には二束三文での売却も視野に入れて動いていかなければなりません。賃貸併用住宅は建てたら最後、投資金額を回収するまでは住み続ける覚悟をする物件であると理解しておいてくださいね。
まとめ
今回の記事では、自宅兼アパートである賃貸併用住宅について詳しく解説してきました。
賃貸併用住宅の強みはなんと言っても、住宅ローンによって金利を低く抑えながら自宅を手に入れつつ不動産投資を実行できる点にあります。数千万円の借入となるため、この金利差を有効活用して土地活用を考えてみると良いでしょう。
また、途中でお話した住宅ローン控除は2020年12月末まで通常10年間の控除期間が13年まで延長されています。
この制度を活用することで、限度額である4000万円の借入を行っていると、この3年間だけでも数十万円から数百万円の控除が期待できるので動き出すなら今ということができますよ。アパート部分で住宅部分のローンをカバーできるといいですね。
最後までご覧頂き誠にありがとうございました。
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