アパート経営が相続税対策になる理由とその節税効果を大公開
「アパート経営が相続税対策に使えるって本当?」
「課税金額はどうやって決まるの?」
「実際に、どれくらいお得になるの?」
こんな疑問やお悩みありませんか?
アパート経営は相続税対策に役立つといわれているものの、実際にはどれくらいの節税効果があるのか分からない人も多いのではないでしょうか。
そこで、今回の記事ではアパート経営がどれほど相続税対策に繋がるのかについて解説していきます。具体的な節税効果の調べ方も併せて紹介していくので最後までご覧ください。
アパート経営が相続税対策に繋がる理由とは?
数字も含めた具体的な税金の話に入っていく前に、
まずはアパート経営と相続税の関係についての基礎知識を固めていきましょう。
そもそも相続税ってどんな税金?
そもそも相続税とは、土地や建物を引き継いだ際に支払う税金のことで、受け取った財産が一定額以上の価値を有していた際に課税される税金です。基礎控除として3000万円が設定されているため、3000万円以上の資産を相続するとなると税が適用されるようになります。
ただし、民法上の相続権を持つ法定相続人が1人増えるたびに、基礎控除の額は600万円ずつ増加していきます。
そのため、法定相続人が3人いた場合などには、基礎控除である4800万円までは税が掛かりません。相続税は多額の資産を引き継いだ際に発生する税金だということを押さえておきましょう。
ちなみに、相続のタイミングにおいては不動産の所有権を移転するために、「固定資産の評価額×税率(0.4%)」分の登録免許税というのも掛かります。
相続税はどれくらいの金額になるの?
肝心の相続税ですが、その金額を計算するためには税率表を活用すると良いでしょう。
現在国税庁によって示されている税率は、平成27年1月1日以後のもので以下のように設定されています。
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1000万円以下 | 10% | なし |
3000万円以下 | 15% | 50万円 |
5000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1700万円 |
3億円以下 | 45% | 2700万円 |
6億円以下 | 50% | 4200万円 |
6億円超 | 55% | 7200万円 |
以上の表のようになっています。
例えば、3500万相当の評価資産を子ども1人が引き継いだ場合には、基礎控除の3000万円分を差し引いて残った500万が課税対象となり、支払う税は500万円×10%で50万円だと計算できます。
配偶者用の税額軽減措置などの特別な制度もありますが、税の金額は上記の表によって基本的には決まるといってよいでしょう。
アパート経営と相続税の関係について
実際のところ、どうしてアパート経営が相続税対策に繋がるのでしょうか?
その理由は、通常の土地をアパート経営に活用することによって、不動産に掛かる固定資産の評価額を引き下げることができるからです。詳しい節税効果については後でシミュレーションを行いますが、アパート経営以外で利用している土地や住宅の税務上の資産価値を、通常の資産価値よりも低く見積もることができるようになります。
アパート経営は、課税対象となる不動産資産の税務上の価値を下げることによって対策に役立つと押さえておきましょう。
現在の相続税推移
現在の日本においては、平成27年以降に基礎控除が引き下げられた(平成27年以前の基礎控除額は5000万+(1000×相続人))ことによって課税される可能性が高くなりました。その裏付けとして、課税の対象となった人の数が、平成26年までは7%代だったものから平成27年以降は12%代まで急上昇しました。
相続税の対象となる不動産を相続する可能性が増えたために、アパート経営による資産評価価値の引き下げが有力な節税対策として近年ではより強く考えられるようになっています。
土地活用の中で、なぜアパート経営が最も勧められているの?
もちろん、アパート経営だけではなく、戸建てやマンションなどの他の賃貸住宅経営であっても節税は期待できます。
しかし、土地活用の中でアパート経営がもっともおすすめされるのは何故なのでしょうか?
それは需要と建築費用が大きく関係します。家賃が高めな戸建てや、都市部に需要が集中しやすいマンションと比べて、アパートは地方においても一定の賃貸需要が存在し、家賃を得ることができます。
また、アパートの建築費用は高層かつ鉄筋造りとなるマンションよりも安く建てることが可能です。節税を目的とするといっても、建築費による支出を下げることや家賃収入を得られることは金銭的なメリットに繋がります。
節税効果だけでなく、建築費の削減や家賃収入といった利益を得られる可能性が高いため、アパート経営は土地活用の中でも人気なのです。
相続税を考える際に基準になるのは何?
アパート経営が土地活用に好まれる理由が分かったところで、課税額の金額を考える際のポイントについて理解していきましょう。
具体的には資産価値評価額の基準について確認していきます。
路線価について
土地を相続する際には路線価によって額が決まります。
路線価は路線に面している土地の1平方メートル当たりの金額を1000円単位で表示したもので、国税庁によって毎年公表されています。
相続する土地の評価額を知りたい場合には、土地の面積に路線価を掛け合わせることで価額を割り出すことが可能です。
土地の評価額の基準
相続する土地の評価額を算出する路線価は、地価公示価格が基準となっています。
地価公示価格は国土交通省によって発表されているもので、土地取引や資産評価に利用するための客観的な1平方メートルあたりの土地価格として利用されています。
基礎知識として、地価公示価格の80%の額が路線価として設定されていると覚えておきましょう。
建物の評価額の基準
アパート経営を行うのであれば建物の評価額の基準についても知っておいて損はないでしょう。
建物の相続税評価額の算出には固定資産税評価額がそのまま適用できます。固定資産税評価額を知るためには、毎年市役所から送られてくる納税通知書の中の課税明細書を確認するのがもっとも簡単です。この評価額は建築価格の50%から70%の間を基準として付けられるようになっています。
そのため、元の建築費用から評価額が下がった分だけ、現金で資産を保有している人よりも課税の評価額を減額できていることにもなります。
相続税の節税効果が大きい
不動産の評価額についての基礎知識を理解したところで、次に詳しい節税効果についてみていきましょう。
アパート経営は不動産の課税評価額を大きく下げられる
何もない更地を相続した場合、土地の価格がそのまま固定資産税に適用されてしまいます。
しかし、アパート経営を行っていれば固定資産税の評価額を大きく削減できます。それは賃貸物件を経営している土地が「貸家建付地」として評価価格の減少効果を受けられるからです。
ちなみに計算式は以下の通りです。
土地の評価額 ×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)=貸家建付地評価額
借地権は土地を借りている人がどれだけ土地を利用できるかという権利で、路線価図で割合の確認ができます。
また、借家権は賃借権の中でも借地借家法が適用されているもので、引き継ぎが認められている権利です。その割合は全国一律で30%と定められています。
そして、賃貸割合はどれだけの範囲が貸し出されているかの割合で、貸し出されている部屋の床面積と空き部屋の床面積の割合で決まります。アパート経営は土地の評価額を減少させる効果があるので、相続時の課税対象額を引き下げることが可能なのです。
特に、評価額が高騰しやすい都市部の地域ほど節税効果が大きくなります。
小規模の土地でも節税が期待できる
アパート経営をしていた土地には小規模宅地等の特例を適用できるため、小さな土地でも節税効果が期待できます。
こちらの特例は、アパートなどの住宅や店舗が存在し、居住用か事業用に利用されていた小規模な宅地に限り利用できるもので、土地の評価額を80%または50%まで引き下げることが可能です。
このため、都市部などの小規模であっても地価が高額になりやすい場所になればなるほど節税効果が高まります。
固定資産税や都市計画税も減免可能
相続税だけでなく固定資産税や都市経学税の減免ができることもアパート経営のメリットです。更地に比べて、アパートを経営している一般の住宅用地であれば固定資産税は1/3、都市計画税は2/3になります。
また、小規模住宅用地であれば、固定資産税は1/3、都市計画税は2/3の扱いを受けます。
このように、アパート経営では相続税以外の税制上の優遇措置を受けることが可能です。
賃料収入による収益も狙える
アパート経営によるメリットとして外すことができないのは賃料収入による収益です。
更地のままであれば、土地の固定資産税による支出で資産が減っていってしまいます。
しかし、アパートを建てて収益化を達成することによって、いままで支出にしか繋がらなかった土地がお金を生んでくれる便利な道具に生まれ変わります。
アパート経営は節税という資産を守るための手段ではなく、賃料によって資産を増やしていく攻めの手段にも利用できるのです。
アパート経営の節税効果をシュミレーションしてみよう
いままで、アパート経営による税金対策や土地活用としてのメリットについて解説してきました。
この項目では、節税効果についての理解を深めるために、実際にアパート経営による不動産相続の節税効果について具体的な数字を扱いながら確認していきましょう。
借地権割合について
不動産のシミュレーションに入る前に、「貸家建付地」のところで紹介した借地権割合によって、計算方法が土地によって異なってしまう点については注意しておきましょう。
こちらの借地権割合は30%から90%までの幅があり、地域によって割合が変化します。実際に自分の土地でシミュレーションを行う場合には、毎年国税庁が公表している路線価図を活用するようにしましょう。
土地の相続税を計算しよう
さて土地の相続税の計算ですが、先ほど示した
土地の評価額 ×(1-借地権割合(0.3~0.9)×借家権割合(0.3)×賃貸割合)=貸家建付地評価額
の計算式を用います。
更地とアパートを経営している「貸家建付地」の課税対象額の差分を知るために、固定資産税が5000万円の土地を想定し、計算の都合上賃貸割合を1に設定して今回の計算を行います。
そうすると、貸付用宅地評価額は4550万(借地権割合0.3)から3650万(借地権割合0.9)になります。金額としては、450万円から1350万円ほどの評価価格の減少効果があることが確認できましたね。
建物の相続税を計算しよう
次にアパートの相続税です。
こちらは借地権割合を使う必要がないため、計算式は
建物の固定資産税 ×(1-借家権割合(0.3)×賃貸割合)=相続税課税額
となります。
賃貸でない住居との相続税の差額を確認するために、こちらでも5000万円かつ賃貸割合が1のアパートという設定で計算を行います。
その場合、課税の対象となるアパートの評価価格は3500万円になり、1500万円ほどの評価価格の減少効果が得られることが分かりました。
アパート経営のデメリット
いままでの項目では、アパート経営によってもたらされるメリットを中心に紹介していきました。
しかし、アパート事業にも欠点が存在していることは把握しておかなければいけません。この項目ではアパート経営のデメリットについて解説していきます。
災害リスク
掛けた建築費よりも低い固定資産税の評価を受けられるアパートですが、運が悪いと災害によって破損や倒壊する危険があります。
特に災害大国とも呼ばれる日本での心配は、諸外国に比べると比較的大きくなるでしょう。
幸いにも保険に入ることによってリカバリーを効かせることはできるので、ある程度の保険料は必要経費だと割り切って支払ってしまったほうが安全です。
空室リスク
空室の問題には特に注意が必要です。
節税を目的にするにしろ、管理費用などのアパートの支出を上回る賃料が取れないと、更地の時以上に出費がかさんでしまう可能性があります。
そして、アパート事業で採算を取っていくためには入居者を入れて空室を埋めていかなければいけません。アパートの経営者となる以上、必ずその地域の入居ニーズを満たせる建物を考えなければいけません。
資産価値の低下
価値の変化が比較的少額な現金と比べて、建物の資産価値の低下はかなり大きいことも覚えておきましょう。
特に新築から築10年までの築浅物件の資産価値の減少は激しいので注意が必要です。家賃収入を得ることや売却益を得るなどして利益を回収していく姿勢がないと、結局のところ資産を目減りさせてしまうことに繋がりかねません。収益化を視野にいれた思考は必須といえるでしょう。
初期投資が大きい
不動産投資の明確なデメリットとしては、初期投資が大きくなりがちな点が上げられます。
築数十年が経過した築古物件などであれば、数百万円程度で入手できる機会もありますが、新築や築浅の中古物件を手に入れようとすると数千万円以上の額が必要です。
節税目的であっても、数千万円の投資を行うのは心理的にも難しいところがあります。
必見!相続税対策に向けたアパート経営のポイントについて
いままでアパート経営によるデメリットや税制上のメリットについて詳しく解説していきました。
最後の項目では、これからアパート経営を始めたいと考えている方々に向けて、押さえるべき重要なポイントを紹介していきます。
節税対策だけを目的としてはいけない
まず大前提として節税対策だけを目的としてアパートを購入することは失敗のもとです。
自分の資産を守るためにアパート経営を始めたはずなのに、アパートを管理していく上で必要な支出によって資産の減少を招いてしまいます。
経営者としての自覚を持ち、収益化を図ることも視野に入れた状態で、賃貸住宅を建てたり購入したりする必要があるのです。
ランニングコストを把握すること
収益化を図るにあたっては建物を管理維持していくためのランニングコストをしっかりと把握しましょう。
ランニングコストの種類は多岐に渡りますが、主に管理費、修繕費、各種税金の支払い、水道光熱費などが代表的です。
支出を減らす方策を取るにも、何にお金が掛かるのか知っておくことが重要となります。ランニングコストを疎かにすると毎月の出費で痛い目にあってしまいますよ。
事前調査を怠らないこと
事前調査によって入居需要を知っておくことが大切です。
入居需要を満たせる建物を選ぶことで、空室によるリスクを極力減らすことができます。不動産業において入居需要は賃料収入に直結する重要な情報です。
その情報を得るための事前調査は決して怠ってはいけません。
売却による撤退も考慮しておくこと
最後に、万が一の際には不動産を売却して損切りをしてしまうことも考えておきましょう。
入念な対策を立てていても、その地域の立地状況や社会情勢の変化によって、賃貸経営が行き詰まってしまったり、建物の資産価値が急激に下落してしまったりする可能性があります。賃貸住宅経営も事業である以上、どうしても失敗してしまう可能性は否定できません。
失敗による傷口を広げないためにも、売却による事業撤退も必ず視野に入れておくべきです。
まとめ
今回の記事では、アパート経営が相続税対策にどう役立つかについて詳しく解説していきました。
リスクがゼロではないといえ、賃貸住宅を扱うことが土地や建物の課税価格を下げることに繋がることは確かです。
今回の記事を参考にして、ぜひ失敗しないアパート経営を目指していきましょう。
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