アパート建築の会社・情報コラムコラム

アパートが老朽化。立ち退きはできる?立ち退き料の相場はいくら?

2021.01.05

『老朽化したアパートから早く退去させるにはどうしたらいいの?』
『立ち退き料っていくらかかるの?』
『立ち退き請求ってどうすれば上手く行くんだろう?』

こんなお悩みはありませんか。

一般的な賃貸借契約は借地借家法によって入居者が優遇され、簡単には退去を迫ることができません。

しかしながら、正当事由があれば立ち退き請求は簡単にできるとご存知でしたか?アパート老朽化は人命に関わる正当事由として考慮されることが多いです。

そこで、今回の記事ではアパート老朽化にかかる退去をどのように行っていけばいいのかについて網羅的にお伝えしていきます。

この記事を読むと、実務的な立ち退き請求の実行の仕方が分かるので是非最後までご覧ください。

アパート老朽化による立ち退きの法的根拠とは?

アパートが老朽化した際に大家さんが立ち退きを迫るというのは、よく有る事例の一つとして考えられますが、法的根拠には何があるのでしょうか。

一般的に、アパートの入居者は費用を払って部屋に住んでいるので、簡単に追い出すことは難しいです。

しかしながら、アパート老朽化は直接入居者の方の命に関わるものであり、きちんと法律に則って行いたいものです。

この項目ではそんなアパート老朽化にかかる法律上の話、借地借家法を交えながらお話ししていきます。

立ち退き請求の法的根拠は通知義務のみ

借地借家法26条によると、一般的な賃貸借契約(定期借家契約ではない期間の定めのある借家契約)において、更新拒絶による立ち退きを入居者側に請求する場合には、1年から6ヶ月前までに更新拒絶の旨を通知する義務が大家さん側に存在します。

立ち退き請求を行うには裁判所やその他の行政機関に頼らずとも、入居者に通知を行えば足りると考えます。

この請求に対して、入居者側がOKを出せば晴れて立ち退きとなりますよ。

正当事由がないと立ち退きの通知を出すことは難しい

借地借家法28条によって立ち退き請求の要件が決まっています。
大家さん側が入居者に対して立ち退き請求を行う場合には、正当事由及び立ち退き料を費用負担する旨の申し出が備わっていなければ無効となってしまいます。

この正当事由とは、裁判にもつれ込んだ際に、建物の現況や大家さん側の事情など総合的に判断され判決が下されます。

アパート老朽化による立ち退きは立ち退き料を出さなければならない場合が多い

アパート老朽化による立ち退きを行う場合、正当事由として認められる場合が多いですが、上述したように、立ち退き料を入居者側に支払う必要がある場合がほとんどです。
アパート取り壊しの費用と合わせて、立ち退き料も支払わなければならないのかと感じてしまうかもしれません。

しかし、アパートに住んでいる方にとって、自己都合ではない理由で住居を変えなければならず、新居に引っ越す際の費用を負担して欲しいと考えるのも頷けますよね。

立ち退き料にかかる費用額の総額については、後ほど詳しく解説していきます。

アパート取り壊したい大家さんが取るべき立ち退き請求のステップとは?

では、立ち退きに関する法的根拠がわかったところで、アパートを取り壊したい大家さんが立ち退き交渉に向かう際に行うことを3ステップに分けてここでは解説していきます。

結論としては、通知義務の1年という数字に囚われず、より入念に交渉を行っていくことが大切です。

①入居者側に事前に相談を行う

入居者側との相談・交渉はできる限りアパートの取り壊しが決まった時点から行っていきましょう。地域によっては、近場に即住めるアパートが存在しなかったり、既に一杯であったりなど様々な状況があります。

新居を探し、審査を受け、契約を交わしてなどの引っ越しにかかる事務作業は意外と時間がかかるものです。

新居探しに手間取るような地域であるのであればなおさら1年以上前からの地道な相談と交渉が上手くいくための第一歩と言えるでしょう。

②入居者に次のアパートを探す費用として立ち退き料を支払う旨を伝える

立ち退き交渉を行う際の最大の決め手は立ち退き料です。
取り壊しを行う以上、退去してもらうのは決定事項のため、大家さん側が都合のいい日取りで退去してもらう特典として、立ち退き料を費用負担する旨の提示を行うと良いでしょう。

また、後ほど詳しく解説しますが入居者に払う費用金額の明確な相場は存在しません。
内訳に慰謝料や迷惑料として割増の立ち退き料を支払うとより交渉は上手くいきやすいです。

③双方納得の上退去期日を決める

最後は期日決めです。
大家さんにとって、一刻も早く退去して欲しいと感じるかもしれませんが、双方納得できる日取りを決める必要があります。新居探しの具体的なスケジュールなどを話合い進捗を確認した上で退去期日を定めましょう。

なお、この時点でゴネる人を少なくするテクニックとして、立ち退き料は期日までに退去した方にのみ支払う旨を通知しておくことが有効です。

気になるアパート入居者に支払う立ち退き料の相場とは?

アパート取り壊しによる立ち退きには費用がかかります。

一般的にこの費用を入居者に支払う立ち退き料といいます。

実際にどのくらいの費用がかかるのか、その相場についてこの項目では解説していきます。

必ずしも立ち退き料は支払わなければならないものではない

まず第一に必ずしも入居者に立ち退き料を支払わなければならないという決まりはありません。

例えば、取り壊しをするアパートの他に所有するアパートに無料で引っ越しを行ってもらうといったような費用負担でもいいのです。

しかしながら、都合よく近場にアパートを持っている大家さんは少なく、現実問題として立ち退き料を現金で支払うことが多くなります。

通例では家賃の6ヶ月分が相場

通例の立ち退き料の相場は家賃の6ヶ月から8ヶ月分程度が相場となります。
意外と高いと感じるかもしれませんが、後ほど詳しく解説する内訳を考えると納得行く費用金額ですよ。

例えば、家賃5万円のアパートで立ち退き料を支払う場合には、30万円程度が相場となります。

しかしながら、引っ越し費用や敷金礼金などを仲介会社に支払えばすぐになくなってしまうことは容易に分かりますよね。

場合によってはより多くの立ち退き料を支払う必要あり

また、場合によっては立ち退き料を増額しなければならない場合もあります。
取り壊しのような建物の都合ではなく、大家さん都合による場合にはより高額な費用がかかってくると考えて下さい。

特に交渉が難航する場合が多く、立ち退き料もそれに比例して高額になる傾向にあるからです。

【概算】立ち退きにかかる費用の内訳について

さて、実際に立ち退きにかかる費用の内訳について試算を行っていきます。
前提条件として、家賃5万円のアパートが老朽化したために同じ価格のアパートに引っ越しをしなければならなくなった入居者を想定します。

引っ越し費用

家賃5万円というと単身者が多くあまり荷物も多くありません。
遠方というよりも職場などを考慮して近場への引っ越しとなるでしょう。

この場合の大体の相場としては、高くても6万円程度に落ち着きます。

新居費用

新居費用として数えられるのは契約時に支払う、1ヶ月分の家賃、敷金・礼金及び仲介手数料(1ヶ月分の家賃+消費税)が通例です。
この金額を各試算してみると、1ヶ月分の家賃が5万円、敷金が家賃の2ヶ月分、礼金が同様に2ヶ月分で合計25万円程度になります。

また、仲介手数料は5万5000円になります。

通信回線費用

ポケットWi-Fiを使用していない入居者の方が大半のため、新たにネット環境を引き直す必要もでてきます。

現在では、固定電話を用いている単身者はあまり多くなく、携帯電話がほとんどのため、こちらの費用はかからないことがほとんどです。
新居にネット環境がない場合には工事費用を負担する必要がでてくることも考えられ、相場としては最大で4万円程度になります。

入居者への慰謝・迷惑料

最後に交渉を行う際に、慰謝・迷惑料を支払う必要もあるでしょう。
円滑に立ち退き交渉を行う場合には、立ち退き料の相場である6ヶ月分プラスして2ヶ月分程度上乗せすることもあります。

ここでは迷惑料として2ヶ月分上乗せして支払ったとしています。

まとめるとどうなる?

上記の相場をまとめると、迷惑料込で計50万円程度、抜きで40万円程度がかかってきます。

本記事では、家賃相場の6ヶ月分が相場としていますが、状況によってはプラス2ヶ月分程度を見込んで追加で支払うと、入居者のメリットの方が大きくなりより円滑な交渉が進んでいきますよ。

【紛争】もし立ち退きを請求する際に居座りをされたら?

最後の項目では立ち退き請求をする際のトラブルで多い居座りについて解説していきます。

このトラブルを未然に防ぐために交渉を行っていくのですが、上手く行かずいつまでたっても入居者がでていかないという場合を想定しています。

【大前提】正当事由の有無を専門家に確認しよう

いざ裁判になった際に、もっとも重要になるのは立ち退き請求に正当事由があるかないかです。

もし仮になかった場合には、大家さん側が敗訴となってしまい居座り行為が正当化されてしまいます。
専門家でも実際に裁判でどう判断されるかどうかを予測するのは難しいと呼ばれる正当事由ですが、助言を聞かずに裁判に臨むのはいけません。

必ず信頼のおけるセカンドオピニオンに確認し、場合によっては紹介を受け、あなたが正当事由があると高確率で判定される状況を作りあげるのが先決です。

①契約形態の確認

正当事由があることを確認できたら、次に行うのは契約形態の確認です。

なぜ必要になるかというと、いつから大家さん側が立ち退きの請求が行えるのかを明確にするためです。

また、請求を行ったという事実が裁判に必要になるため、裁判を行う証拠となるのがいつからかという問題もありますよ。

では、早速見ていきましょう。

期限の定めのある借家契約

一般的な更新日が決まっている場合の借家契約の場合は、今まで解説してきた通り、更新日の6ヶ月から1年前からの通知義務があります。
通知をすることによって初めて法的な効力が発生し始めます。

ただし、定期借家契約は期間の定めのある借家契約の中でも貸主が強い契約形態であり、期限の到来によって当然に契約を打ち切ることができますよ。

当然ながら、何の異議申し立てなく上記の期間を過ぎれば、入居者は違法に住居を専有している状態となります。

期限の定めのない借家契約

期限の定めのない借家契約は、借地借家法27条を用いて行います。
期限の定めのある借家契約と同様に、正当事由があり6ヶ月前からの申し入れによって効力を発揮します。

ただし、こちらでは、大家さんが入居者に対して遅滞なく異議申し入れをしなければ効力を発揮しない点に注意して下さい。

②建物明け渡し請求を裁判所に提訴する

請求に対して異議申し立てがなく違法性がある場合には、建物明け渡し請求を裁判所に提訴します。
管轄する裁判所は基本的にアパートの存在する市区町村を管轄する裁判所になりますよ。

ここで勝訴することによって初めて、強制執行が可能となるため、万全の状態で裁判に臨むようにしてください。

判決によって和解調書や確定判決がでれば、退去の期日が決まりその日までに退去がなければ、強制執行となります。

③強制執行を行う

期日到来以降も入居者が居座る場合には、強制執行です。
強制執行は強制執行の申立を行い、1ヶ月程度の期間を明けて断行されます。
荷物や入居者を運び出し鍵交換を行って完了しますよ。

若干の費用はかかりますが、こうして晴れてアパートの取り壊しが行なえます。

まとめ

今回の記事ではアパート老朽化にかかる立ち退きについて、法的根拠から費用の概算まで網羅的にお話してきました。
アパート老朽化は人命に関わることもあり、早急に対処したいと考えられますが法律上では、更新時期の6ヶ月から1年前の通知を持って始めて効力を発揮し始めます。

ただ、賃貸業は人を介したビジネスである以上、法律よりも前に相談と交渉を始めることが有効打となる場合が往々にしてありますよ。

正しい法律知識と相場観をこの記事で身につけて頂けたら幸いです。

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